「一人暮らしだから、どうせ断られる」「家の中を細かくチェックされて不快だった」……。
夜、ベッドの中でスマホを眺めながら、SNSに流れるそんなネガティブな体験談に胸を痛めていませんか?「猫を助けたい」という純粋な気持ちがあるのに、まるで自分が「里親として不適格」だと突きつけられているような、そんな不安で一歩踏み出せずにいるあなたの姿が目に浮かびます。
こんにちは。保護猫マッチングアドバイザーの瀬戸口結衣です。私はこれまで10年間、ボランティアリーダーとして500頭以上の保護猫を新しい家族へと繋いできました。その中には、あなたと同じように「一人暮らし」という理由で一度は諦めかけた方もたくさんいらっしゃいました。
でも、安心してください。結論から申し上げます。保護猫の譲渡審査は、あなたを「選別」して落とすための試験ではありません。猫とあなたが共に幸せになれるかを確かめる「信頼構築の共同作業」なのです。
この記事を読み終える頃には、あなたが抱えている「審査への恐怖」は消え、保護主から「この人なら安心して任せられる」と信頼されるための具体的な準備が整っているはずです。さあ、新しい家族との暮らしに向けて、最初の一歩を一緒に踏み出しましょう。
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※当コンテンツは、「記事制作ポリシー」に基づき作成しています。万が一事実と異なる誤認情報がみつかりましたら「お問い合わせ」までご連絡ください。速やかに修正いたします。
- 1:なぜ保護猫の譲渡会は「審査が厳しい」と言われるのか?保護主の心理を知る
- 2:譲渡会からお迎えまでの全体フロー:5つのステップを完全解説
- 3:【核心】保護主が本当に見ているのは「属性」ではなく「信頼」である
- 4:一人暮らし・共働きでも審査を突破する「バックアップ体制」の作り方
- 5:譲渡会当日の持ち物と、好印象を与えるマナー・服装ガイド
- 6:保護主との面談で必ず聞かれる「3つの質問」と、誠実な答え方
- 7:「脱走防止策」の合格ライン:具体的な設置例と写真の撮り方
- 8:譲渡費用(医療費負担金)の相場と、お金の話を避けない理由
- 9:トライアル期間の過ごし方と、保護主との良好なコミュニケーション術
- 10:譲渡誓約書の内容と、終生飼養という「命の約束」の重み
- 11:よくある質問(FAQ):単身者、高齢者、先住猫の悩みにお答えします
- まとめ:審査の先にある、猫との幸せな暮らしへ向けて
1:なぜ保護猫の譲渡会は「審査が厳しい」と言われるのか?保護主の心理を知る
「どうしてそんなにプライベートなことまで聞くの?」「まるで取り調べみたい……」。譲渡会に初めて参加した方の多くが、そう感じて戸惑われます。でも、少しだけ「保護主側の視点」に立って考えてみてほしいのです。
私たち保護主にとって、保護猫たちは単なる「動物」ではありません。過酷な外の環境から救い出し、病気を治療し、夜通しミルクをあげて、ようやく命を繋ぎ止めた「我が子」のような存在です。その子がもし、譲渡先で脱走して事故に遭ったら?もし、里親さんの急な事情で再び行き場を失ったら?
✍️ 編集部の経験からの一言アドバイス
【結論】: 保護主が厳しい質問をするのは、あなたを疑っているからではなく、「猫を二度と不幸にしたくない」という強い恐怖心を抱えているからです。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、保護主は過去に「信じて託したのに、不注意で猫を死なせてしまった」という悲劇を経験していることが多いからです。あなたの熱意を伝える前に、まずは彼らの「不安」を理解し、包み込んであげる姿勢が大切です。
保護主が求めているのは、完璧な人間ではありません。「この人なら、何かあった時に隠さず相談してくれる」「この人なら、猫の安全を自分事として考えてくれる」という誠実さなのです。審査の厳しさは、猫への深い愛の裏返し。そう捉えるだけで、保護主との対話はぐっとスムーズになります。
2:譲渡会からお迎えまでの全体フロー:5つのステップを完全解説
譲渡会の流れが不透明だと、どうしても不安が募ります。まずは、一般的な譲渡のプロセスを5つのステップで整理しましょう。全体像を把握することで、今自分がどの段階にいて、何を準備すべきかが明確になります。
保護猫譲渡の5ステップフロー

- 譲渡会への参加・申し込み: 会場で気になる猫を見つけたら、アンケートに回答します。
- 面談: アンケートに基づき、飼育環境や家族構成について詳しくお話しします。
- 家庭訪問: 保護主が実際に自宅を訪問し、猫が安全に暮らせる環境かを確認します。
- トライアル: 実際に猫と一緒に暮らしてみます。先住猫との相性もここで確認します。
- 正式譲渡: 双方の合意があれば、契約書を交わして正式に家族となります。
この流れの中で、特に一人暮らしの方が「壁」と感じやすいのがステップ2の面談とステップ3の環境確認です。次のセクションでは、その壁を乗り越えるための「核心」に迫ります。
3:【核心】保護主が本当に見ているのは「属性」ではなく「信頼」である

「一人暮らしだから」「共働きだから」という理由で、最初から諦める必要はありません。実は、保護主が本当にチェックしているのは、あなたの「属性(スペック)」そのものではなく、その属性に伴う「リスクへの対策」ができているかどうかです。
ここで、今回の記事の最も重要な考え方を提示します。それは、「属性(変えられないもの)」を嘆くのではなく、「準備(変えられるもの)」で信頼を勝ち取るという戦略です。
保護主が不安に思う「属性」と、信頼を生む「準備」の対比
| 保護主の不安(属性) | 信頼を生む具体的な準備(対策) |
|---|---|
| 一人暮らし: 飼い主の急病時に猫が放置される | 後見人の設定: 緊急時に駆けつけてくれる親族や友人を確保 |
| 共働き: 留守番時間が長く、体調変化に気づけない | 見守りカメラの導入: スマホでいつでも様子を確認できる体制 |
| 賃貸住宅: 無断飼育や退去時の遺棄が心配 | 契約書の提示: 「ペット可」の文言がある賃貸契約書のコピーを用意 |
| 初心者: 猫の習性を知らず、脱走させてしまう | 学習意欲の提示: 脱走防止策の具体的な計画図や写真を提示 |
保護主にとって、一人暮らしの応募者は「リスクが高い」と感じるのは事実です。しかし、そのリスクをあなた自身が正しく認識し、先回りして「こう対策しています」と提示できれば、それは「属性」を超えた「圧倒的な信頼」へと変わります。
4:一人暮らし・共働きでも審査を突破する「バックアップ体制」の作り方
一人暮らしの方が審査で最も頻繁に受ける質問、それは「あなたに何かあった時、猫はどうなりますか?」という問いです。これに対し、「たぶん大丈夫です」「友達に頼みます」といった曖昧な回答はNGです。
保護主を安心させる最強の回答は、「後見人(緊急時の預け先)」を明確にすることです。
- 後見人の選定: 近隣に住む親族や、信頼できる友人に「もしもの時に猫を一時的に預かってほしい」と相談し、承諾を得ておきましょう。
- 緊急連絡先カードの作成: 自分の財布やスマホの裏に、「自宅に猫がいます。私に何かあったら〇〇さん(後見人)に連絡してください」と記したカードを用意します。
- 面談での伝え方: 「一人暮らしですが、徒歩15分の場所に住む姉が後見人を引き受けてくれています。緊急連絡先も共有済みです」と伝えましょう。
✍️ 編集部の経験からの一言アドバイス
【結論】: 後見人は、必ずしも「猫を一生引き取る人」である必要はありません。
なぜなら、保護主が最も恐れているのは、飼い主の不在中に猫が餓死したり、発見が遅れたりする「空白の時間」だからです。まずは数日間、確実に猫の命を繋いでくれる人がいる。その事実だけで、保護主の不安の8割は解消されます。
5:譲渡会当日の持ち物と、好印象を与えるマナー・服装ガイド
譲渡会は、いわば「お見合い」の場です。第一印象で「この人なら清潔な環境で猫を育ててくれそう」と感じてもらうことは、審査を有利に進めるための重要なテクニックです。
【当日の服装】
- 清潔感のあるカジュアル: 高級ブランドである必要はありませんが、シワのない服を選びましょう。
- 靴下に注意: 多くの譲渡会は室内(靴を脱ぐ会場)で行われます。穴の開いた靴下や、汚れの目立つものは避けましょう。
- 香水は控える: 猫は嗅覚が非常に鋭いため、強い香りは嫌われます。
【当日の持ち物リスト】
- 住居の図面や写真: 「ここにケージを置く予定です」「ここに脱走防止柵をつけます」と説明する際に非常に役立ちます。
- 筆記用具: アンケート記入に必要です。
- 身分証明書: 申し込み時に提示を求められることがあります。
- ペット可物件の証明書類: 賃貸の場合は、契約書のコピーを持参すると信頼度が飛躍的に高まります。
会場では、猫を無理に触ろうとしたり、大声を出したりするのは厳禁です。静かに見守り、保護主の話を「聞く」姿勢を大切にしてください。
6:保護主との面談で必ず聞かれる「3つの質問」と、誠実な答え方
面談は、あなたの「猫への理解度」と「責任感」が試される場です。以下の3つの質問には、自分の言葉で具体的に答えられるようにしておきましょう。
「なぜ、この子を迎えたいと思ったのですか?」
- NG: 「可愛いから」「寂しいから」
- OK: 「この子の穏やかな性格が、私のライフスタイルに合うと感じました。SNSでの紹介文を読んで、ぜひ家族になりたいと思いました」
「完全室内飼育と脱走防止を徹底できますか?」
- NG: 「気をつけます」「窓は開けないので大丈夫です」
- OK: 「はい。玄関には突っ張り式のフェンスを設置し、窓には網戸ロックを取り付ける計画です。具体的な設置場所の写真も撮ってきました」
「将来、結婚や引越しがあっても終生飼養できますか?」
- NG: 「その時考えます」
- OK: 「もちろんです。引越しの際は必ずペット可物件を選びますし、家族が増える場合も猫を最優先に考えた環境づくりを約束します」
答えに迷った時は、「猫の安全を第一に考えると、どう答えるべきか」を基準にしてください。正直に「今はまだ知識が足りないので、教えていただけますか?」と聞く姿勢も、実は高く評価されます。
7:「脱走防止策」の合格ライン:具体的な設置例と写真の撮り方
譲渡審査で最も多くの人が「不合格」となる原因、それが脱走防止策の不備です。保護主は「うっかり」による事故を何よりも恐れています。
猫の脱走防止チェックポイント

【保護主が納得する写真の撮り方】
家庭訪問の前に、以下の写真を準備しておくと非常にスムーズです。
- 玄関: ドアを開けた時に、猫が外へ飛び出さないための「仕切り」がどこに置けるか分かる写真。
- 窓: 網戸のサッシ部分。ここにどうやってロックをつけるか、あるいはネットを張るかを指し示しながら撮ります。
- ケージの設置予定場所: 直射日光が当たらず、エアコンの風が直接当たらない静かな場所を選びましょう。
「気をつけます」という言葉は、保護主には届きません。「物理的に出られない仕組み」を提示すること。これが合格への最短ルートです。
8:譲渡費用(医療費負担金)の相場と、お金の話を避けない理由
「保護猫なのに、どうしてお金がかかるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、この費用の意味を正しく理解することは、里親としての責任を知ることに直結します。
【譲渡費用の相場】
一般的に、3万円〜6万円程度が相場です。これには以下の実費が含まれています。
- ウイルス検査(エイズ・白血病)
- ワクチン接種(1〜2回)
- 不妊・去勢手術代
- 駆虫薬(ノミ・ダニ・お腹の虫)
- マイクロチップ装着
譲渡費用は、その猫にかかった医療費の『一部』を次の命を救うためにバトンタッチするものです。決して猫の『販売価格』ではありません。
出典: 環境省:動物の譲渡譲受に関するガイドライン – 環境省, 2023年改訂
お金の話をしっかりすることは、あなたが「猫の生涯にかかる費用(フード、砂、医療費)」を支払う能力と覚悟があることを証明する行為でもあります。不透明な点があれば、遠慮なく内訳を質問しましょう。誠実な団体であれば、必ず詳細に答えてくれます。
9:トライアル期間の過ごし方と、保護主との良好なコミュニケーション術
審査を通過し、いよいよ「トライアル」が始まります。これはお試し期間ではなく、「新しい環境に猫を慣らすためのリハビリ期間」だと考えてください。
【トライアル中の3つの鉄則】
- 最初はケージから: いきなり部屋に放すと、猫はパニックを起こして隠れてしまいます。まずはケージを「安心できる自分の部屋」として認識させましょう。
- 毎日の報告を欠かさない: 「今日はご飯をこれだけ食べました」「トイレも成功しました」といった些細な報告が、保護主の不安を解消します。写真や動画を添えるとさらに喜ばれます。
- 無理に触らない: 猫のペースに合わせましょう。向こうから近づいてくるまで、じっと待つ忍耐強さが求められます。
もし、先住猫との相性がどうしても合わなかったり、予期せぬ問題が発生したりした場合は、すぐに保護主に相談してください。一人で抱え込まず、共に解決策を探る姿勢こそが、正式譲渡への近道です。
10:譲渡誓約書の内容と、終生飼養という「命の約束」の重み
トライアルを無事に終えると、いよいよ「譲渡誓約書」の締結です。これは、あなたと保護主、そして猫との間で交わされる「命の契約」です。
【誓約書の主な内容】
- 終生飼養(一生涯、責任を持って飼い続けること)
- 完全室内飼育の徹底
- 適切な医療(ワクチン、病気時の受診)の実施
- 虐待、遺棄、再譲渡の禁止
- 定期的な近況報告(1年後など)
この契約書にサインすることは、法的な拘束力を持つだけでなく、あなたがその猫の「生涯の守護者」になることを宣言する儀式です。内容を一行ずつ確認し、その重みを噛み締めてください。この瞬間、あなたは「里親候補」から、かけがえのない「家族」へと変わるのです。
11:よくある質問(FAQ):単身者、高齢者、先住猫の悩みにお答えします
最後に、私がアドバイザーとしてよく受ける質問にお答えします。
Q:一人暮らしで出張がある場合は諦めるべきですか?
A: 頻度によります。1泊程度なら自動給餌器や見守りカメラで対応可能ですが、頻繁な場合はペットシッターや後見人の協力が必須です。その体制を具体的に提示できれば、譲渡の可能性は十分にあります。
Q:60歳以上の高齢者ですが、子猫を迎えられますか?
A: 多くの団体では、猫の寿命(20年)を考慮し、子猫の譲渡に年齢制限を設けています。しかし、落ち着いた成猫であれば、高齢者の方こそ「穏やかなパートナー」として最適です。また、万が一の際の後見人がいれば、道が開けることもあります。
Q:先住猫がいますが、譲渡会で気をつけることは?
A: 先住猫のワクチン接種とウイルス検査の結果を提示できるようにしておきましょう。また、相性が合わなかった場合の「隔離スペース」が確保できているかも重要なチェックポイントになります。
まとめ:審査の先にある、猫との幸せな暮らしへ向けて
ここまで読んでくださったあなたは、もう「審査が怖い」と感じていた自分とは違うはずです。
譲渡会の流れを理解し、一人暮らしのリスクに対する「後見人」という答えを持ち、脱走防止という「物理的な信頼」の作り方を学びました。これらはすべて、あなたが猫を心から愛し、守り抜こうとしている証拠です。
✍️ 編集部の経験からの一言アドバイス
【結論】: あなたのその「慎重さ」と「不安」こそが、実は里親として最も大切な資質です。
なぜなら、無鉄砲に「大丈夫」と言う人よりも、リスクを恐れて真剣に準備する人の方が、猫を一生幸せにできる確率が圧倒的に高いからです。保護主は、そんなあなたの「誠実な不安」を待っています。
まずは、お近くの譲渡会のスケジュールをチェックすることから始めてみませんか?そして、もし面談で緊張してしまったら、この記事で準備した「写真」や「後見人の話」を思い出してください。
あなたの勇気ある一歩が、一匹の猫の運命を、そしてあなたの人生を、温かな光で満たすことを心から願っています。
【参考文献】

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